そのほかの耳の病気

外耳炎

外耳に生じる炎症です。外耳道炎とも呼ばれます。 耳かきや指先などで外耳が傷つき、ウイルスや細菌に感染して発症します。進行して中耳炎を合併することもあります。 主な症状は、かゆみ(初期)、耳垂れ、耳の痛みです。
痛みは側頭部や頭頂部に放散することがあります。

主な治療法

まず耳掃除は当分のあいだ中止してください。治療は抗生物質含有軟膏塗布になります。
炎症程度が強い場合は、抗生物質や鎮痛剤の内服を行います。
投薬でも効果ない場合には、切開排膿あるいは、抗生物質の点滴を行います。

メニエール病

メニエール病は、難聴、耳鳴り、耳閉塞感などの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する疾患であり、その病態は内リンパ水腫である(内耳にリンパ液がたまる状態)とされています。

主な治療方法

利尿剤の使用による内耳のリンパ液のむくみ軽減、ステロイドの内服・点滴などを行います。
ご自宅では安静にして療養に努めてください。

原因や発症しやすい人は?

30~50歳代の働き盛りに頻度が高い疾患です。性差では男性では40歳代、女性では30歳代にピークがみられますが、女性のほうが多く、女性の社会進出に伴う現象と考察されています。几帳面で神経質な性格の方が多く、発症時状況は頭脳労働時、肉体労働時、起床時、気象変化時に発症することが多いとされています。近年、気圧の変化がメニエールの発症に関与することが明らかになりました。また60歳以上の高齢新規発症患者さんも増加しています。発症誘因としては、家庭・職場環境によるストレスや睡眠不足、疲労などが大きく関与しているといわれています。

メニエール病の治療

薬物療法

メニエール病の治療の基本は、内耳にリンパ液が溜まり過ぎないようにするために、浸透圧利尿剤を服用したり、めまいを抑えるために抗めまい薬や、聞こえの悪さの程度によっては、ステロイドを使用したりします。

メニエール病の進行

メニエール病は、難聴や耳鳴り、耳閉塞感を伴い、めまい発作を繰り返す内耳疾患です。発作時には「内リンパ水腫」が起こることにより内耳細胞が障害を受け、症状が発症します。「急性期(めまい発作期)」「間欠期」「慢性期」に及んだ場合に分けて治療を行います。メニエール病はめまい発作を反復しながら内耳機能が低下していく疾患ですので、間欠期の発作予防が重要です。

急性期(めまい発作期)

めまい発作期には嘔気を伴うことが多いため、内服が難しく、点滴による補液が必要になります。点滴を施行しても症状が強い場合には、安静を兼ねて、入院加療が必要になります。

間欠期

めまいや難聴などの症状が、繰り返し起こるようになります。これらの症状は季節の変わり目や、数ヶ月に1回程度になることもありますが、繰り返すことで内耳機能は徐々に低下していきます。そのため、発作を予防するため、抗めまい薬やVB12製剤、ATP製剤や浸透圧利尿薬や場合により漢方薬を処方いたします。また急速に難聴が進行する場合や重度のめまいには、ステロイドを投与いたします。

慢性期

症状が長期化した場合には、約30%が両側性に移行しますので、症状がなくても予防および耳鳴り、耳閉塞感などの改善を含めて内服が必要になります。内リンパ水腫の軽減と再形成防止のための治療を行います。浸透圧利尿薬を中心にVB12製剤、ATP製剤、脳循環代謝改善剤等を処方いたします。めまいに対する予期不安が強いため、抗不安薬や抗うつ薬を使用することもあります。また漢方薬が発作予防や体質改善に有効なことがあります。

生活指導を行い治療します

メニエール病の発症にストレス、肉体・精神的過労、睡眠不足が関与することが知られています。そのため、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善や適度な運動などをアドバイスすることもあります。

中耳加圧療法によるめまい発作の抑制

上記生活指導および、薬物療法を行っても、めまい発作を繰り返す重症度がStage4のメニエール病または遅発性内リンパ水腫確実例では中耳加圧機器を自宅に持ち帰り、在宅で中耳加圧治療を行います。中耳加圧装置は陰圧陽圧の圧力を発生する機器であり、シリコンチューブを耳穴に当てることで外耳道・鼓膜・耳小骨を介して内耳に圧波が伝わります。1回3分間、1日2回使用を継続します。治療効果や安全性を確認するために、月に1回受診して頂きます。貸し出し期間中は毎日、月間症状日誌に①めまいレベル、②自覚的苦痛度、③日常の活動レベルの3項目について5段階で記入します。聴力改善目的には使用できません。
実施医基準は耳鼻咽喉科専門医であることが条件となります。
中耳加圧装置はレンタル扱いですので、購入費用は必要ありませんが、貸し出しには予約が必要になります。令和4年6月現在、予約には概ね3ヶ月かかっています。負担額は3割負担で月に約6,000円です。国内臨床治験では1年以内の治療で80%の寛解率でした。そのため、治療された全ての方に有効であるとは限りません。これまでの臨床治験や臨床研究では、明らかな副作用の報告はありませんが、治療に関連してめまい、難聴の悪化がみられた場合には、中耳加圧療法を一旦中止いたします。

内リンパ嚢開放術

上記の治療を行っても、効果ない場合には入院の上、手術が必要になりますので手術可能な病院へ紹介いたします。

耳垢栓塞(じこうせんそく・耳垢が詰まっている)

耳垢が溜まり、耳の穴を塞いでしまっている状態です。 耳には自浄作用が備わっているため、通常耳掃除は必要ありません。ただ、個人の体質の差や環境によっては、耳垢が溜まってしまうことがあります。また、水を含んだために耳垢が大きくなり耳垢栓塞を起こすこともあります。
主な症状は、耳閉感、難聴です。悪化すると、まったく音が聞こえなくなることもあります。

主な治療法

鉗子や吸引管といった器具を用いて除去します。硬くこびりついている場合には、点耳薬でふやかして後日除去することもあります。

ヘッドホン・イヤホンによる「音響外傷」に注意しましょう

ヘッドホンやイヤホンなどは、音楽をきくときだけでなくスマートフォンで動画を視聴するときなどにもごく一般的に使用されるようになりましたね。
しかしあまりにも恒常的にヘッドホン・イヤホンを使用して大きな音をきいていると、難聴を伴う慢性音響外傷を起こすことがあります。慢性音響外傷は、基本的に治りません。ヘッドホン、イヤホンを使用する場合には、時間、音量に注意しましょう。
音漏れのしない程度の音量を上限として、少なくとも1時間ごとに5-10分間の休憩をとってください。

耳に小さい穴が開いている「先天性耳瘻孔(じろうこう)」

先天的に、耳の付け根に小さな穴が空いている病気を「先天性耳瘻孔」と言います。ほとんどの場合、穴は行き止まりになっていますが、耳の穴とつながっているものも見られます。

主な原因

赤ちゃんがお腹の中で成長する段階で、耳の組織の結合がうまくいかないことで生じる病気です。

主な症状

深さ10~15ミリ程度の穴が、耳の付け根に生じています。そこに垢が溜まって悪臭を放ったり化膿したりといったことがあります。また、痛み、腫れが見られることもあります。

治療法

腫れなどの症状が強く現れている場合には、抗生剤を使用して炎症を和らげます。
抗生剤投与を行っても、効果ない場合や腫れが悪化した場合には切開・排膿を行い、局所洗浄を行うため、頻回に通院が必要になることがあります。繰り返す場合は根本的な治療のために、手術が必要になります。

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