難聴・突発性難聴・急性低音障害型感音難聴

難聴について

難聴=まったく聞こえない ではない

難聴というと、まったく聞こえなくなった状態をイメージされるかもしれません。実際は、少しでも聞こえが悪くなっている状態を含めて「難聴」と言います。
そして、“少し聞こえが悪くなっている難聴”ほど、見逃してしまい受診が遅れるケースが多くなります。
日常生活に問題がないから、少しだけだからと侮らず、聞こえの低下を感じたときには大阪市城東区の柿本耳鼻咽喉科にご相談ください。

難聴の症状チェックリスト

以下の項目に1つでも該当する場合には、難聴をきたしている可能性があります。

  • 以前より聞こえが悪くなった気がする
  • 電話口で相手の声を聞き取りづらい
  • 声が大きくなったと指摘された
  • 聞き返すことが多くなった
  • 音の聞こえ方が変わった気がする
  • 耳鳴り、耳閉感、耳に水が入ったような感覚が続く

最もかかりやすく注意が必要な耳の病気「突発性難聴」

突発性難聴というと、大きなストレスのかかる芸能人などに起こる“特別な病気”というイメージが強いかもしれません。
しかし、難聴にかかわる大人の耳の病気の中でもっとも多いのが、突発性難聴なのです。
突発性難聴は、早期の治療が予後を大きく左右します。早ければ早いほど聴力が回復する可能性が高くなる一方、特に発症が2週間を過ぎてしまうと治療がぐっと難しくなります。音を感じとる有毛細胞に障害が生じた場合には、約2週間以内に神経の変性をきたすためです。一般には発症して、約1ヶ月で聴力が固定すると考えられており、神経の変性は不可逆的なもので、治療を行っても元通りになることはありません。

突発性難聴の考えられるおもな原因

突発性難聴は、音を信号に変換して脳に伝達する蝸牛にある有毛細胞が障害されることで発症します。
しかしなぜ有毛細胞の障害が起こるのかといった根本的な原因は、未だはっきり分かっていません。ウイルス感染、内耳の循環障害、ストレスなどが関与しているのではないかという意見がありますが、いずれも仮説に留まっています。

突発性難聴にかかりやすい?

ご自身の耳や身体の状態から、突発性難聴のリスクが分かります。当てはまる項目が多ければ多いほど、リスクは高まります。

  • ずっと耳鳴りがある
  • 息苦しさを感じることがたびたびある
  • 温かい季節も手足が冷える
  • 寒い季節にもひどく汗をかく
  • 手足の震えを感じることがある
  • 気候の変化に体調が左右されやすい
  • 消化が良くないと感じることがある
  • 下痢、便秘が多い
  • 首のこりや肩こりがある
  • 強い頭痛を起こすことがある
  • ストレスが溜まっていると感じる

突発性難聴の治療法

炎症を抑えるためのステロイド薬、ビタミン剤、血行促進薬などを用いた薬物療法を行います。
難聴の程度によっては、点滴治療や入院が必要になることもあります。個人差はありますが、1週間~1ヶ月間は投薬による治療が必要になります。
通院治療の場合にも、仕事や勉強は休み、疲労・ストレスなく十分に休養することが大切です。発症後2週間以内に治療した場合の完治率は40%と言われており、一部治癒するのが40%、治療しても治らないのが20%といわれています。

突発性難聴は再発しない?

突発性難聴は、通常片側の耳で発症します。治療後、また同じ側の耳で再発するという可能性はほとんどありません。
ただし、片側の耳での発症後、反対側の耳で発症するということは十分に起こり得ます。

突然低音が聞こえにくくなる「急性低音障害型感音難聴」

突然低音が聞こえにくくなる「低音障害型感音難聴」突然、低音が聞こえづらくなる耳の病気を「急性低音障害型感音難聴」と言います。
20~40代の、特に女性に多い病気です。
女性は男性のおよそ2-3倍であると考えられています。
一側性が多いですが、両側性が6.8%で認められます。

突発性難聴との違い

突発性難聴と急性低音障害型感音難聴には、以下のような違いがあります。
あくまで参考程度に留め、早期にご相談くださいますよう、お願いします。

突発性難聴 急性低音障害型感音難聴
はっきりとした聴力の低下がある 耳閉感、耳鳴りによる「なんとなく聞こえにくい」感
高音・低音の聞こえづらさには個人差がある 低音が聞こえづらい
回転性めまいを伴う 回転性めまいは起こらない
通常片耳で発症する 両耳で発症することもある
同じ側の耳では再発しない 再発がある

急性低音障害型感音難聴の考えられるおもな原因

主として蝸牛(かたつむりの殻状をした聴覚にたずさわる器官)に限局した内リンパ水腫(内耳のリンパ液の流れが滞る、つまり水ぶくれの状態)と考えられていますが、内リンパ水腫以外の病態、すなわち蝸牛の血液の循環障害や内耳瘻孔等異なる病態の混在もあり、低音を感じとる細胞が障害されているのではないか、という説があります。
また、内リンパ液の循環の悪化は、過労、ストレス、睡眠不足などに起因しているものと考えられており、心身共に安静を保つことはきわめて重要です。

急性低音障害型感音難聴の治療法

薬物治療と生活指導を必ず組み合わせて行います。薬物治療としては浸透圧利尿薬、ATP製剤、ビタミン剤、漢方薬、ステロイド、自律神経調整剤、抗不安剤などを用います。
生活指導としては規則正しい生活と睡眠指導、食生活指導(塩分控えめに、水分摂取を多めに)気分転換によるストレス解消(小汗をかくような有酸素運動)を勧めます。低音障害型感音難聴は、突発性難聴とは異なり同じ側の耳でも再発することがあります。また、再発を繰り返すうちに、難聴も悪化する傾向にあります。発症後2-3年の経過でメニエール病に移行する頻度は5-10%と考えられています。一般的に症状を反復することや、進行性に難聴が悪化することがあるため経過観察が必要です。

難聴の予防法・おうちでできること

疲れはその日のうちにリセット

勉強や運動、仕事で溜まった疲れは、できるだけその日のうちにとりましょう。そのためには、規則正しい生活、食事、十分な睡眠が大切になります。
最近ではよく知られるようになりましたが、連日遅くまで仕事をして、休日に1日中寝ているような休息では、疲れはとれません。
毎日疲れをリセットすることを意識しましょう。

ストレスを溜めない、回避する

ストレスも、できるだけその日のうちに解消するのが良いでしょう。短くてもいいので夜には趣味に時間を使う、音楽をきく、軽い運動をする、しっかりと睡眠をとるといった方法があります。
また、ストレスには必ず立ち向かわなければならないわけではありません。何となく続けてストレスになっているものがあれば、回避するのも一手です。

音楽の楽しみ方に気をつける

イヤホンやヘッドホンを使用する際には、音量に注意しましょう。音漏れのしない程度の音量を上限にしましょう。また、1時間以上連続しての鑑賞は控え、休憩をとりましょう。
ライブ・コンサートに行くときは、耳栓を持って行くことをおすすめします。耳が痛いほどの音量は、当然耳に良くありません。途中退出できない場面もあるかと思いますので、そういったときに耳栓が役立ちます。

耳掃除を耳鼻咽喉科で受ける

ご自身で耳掃除をすると、耳垢を奥に押しやってしまい、難聴をきたすことがあります。また、外耳道を傷つけると、外耳炎の原因にもなります。
もっとも安全でスッキリするのは、耳鼻咽喉科で耳掃除をしてもらう方法です。耳掃除だけでも受診していただけますので、お気軽にご相談ください。
※耳には自浄作用が備わっているため、本来、耳掃除は不要なものです。ただ、耳垢の溜まりやすさにも個人差がありますので、気になる方は、月に1回程度、耳掃除をしてもらいましょう。

 

加齢性(老人性)難聴

加齢性(老人性)難聴は加齢に伴って高音域から徐々に進行していく両側性の難聴です。
音は聞こえるが、認知の低下(何の音かがわからない)が特徴です。耳鳴りを伴うことが多い。
検査;標準純音聴力検査にて高音域が障害を受け、難聴の進行に伴い、中音域から低音域まで障害されるようになります。

治療法

有効な薬物療法はありませが、発症軽減や遅延対策としては、騒音暴露機会を減らしたり、動脈硬化予防のために、糖尿病や高血圧、高脂血症などのコントロールや喫煙、肥満対策等が期待されます。
難聴有病率は65歳を境に急速に増加しております。難聴が進行していくにもかかわらず、放置すると、日常生活の支障や、また社会行動にも影響が及び、社会的孤立やうつ、また認知症発症にも繋がるとされています。2017年のアルツハイマー病協会国際会議で認知症発症の65%は予防不可能ですが、35%は予防可能であり、そのうち難聴が9%を占める最大のリスク因子であることが報告されました。
また難聴があっても耳鼻咽喉科受診する人は受診しない人よりも認知症の発症率が低くなっていることが報告されています。難聴の程度によっては、補聴器装用を検討します。補聴器を装用することで音がしっかりと脳に届き、刺激が入るために認知機能低下の抑制に効果が期待されます。

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